落語会の運営というのは、ひとりではできません。出演者はひとりとしても、お客さまは少ないとしても、お客さまの人数が増えると、スタッフの人数も増えてゆきます。
そこで、思うことがあります。
スタッフが男ばかり、女ばかり、というふうに片方の性別だけになるというのは、できれば避けたほうがいいのではと考えます。できるならば、女性が多かったら男性が、男性が多かったら女性が、という形で最低でも異なる性別の方(注1)が複数いたほうがいいと思います。
いくつか理由はありますが、思うところを並べてみます。
(1)同じ性別の方を守る。
①トイレ
いちばんわかりやすいのは、トイレの問題。スタッフは、開演前や休憩後は、お客さまがトイレに入ったままの状態で舞台がスタートしないように確認する必要がありますが、その時にトイレで使用している部屋があるかどうかを確認するのはやはり同じ性の方になります。あと、トイレットペーパーの補充・トイレの不具合などの事態が生じた時にも、同じ性別の人がスタッフにいないと対応がしづらくなります。
②出演者のサポート・ガード
また、出演者に女性がいた場合に問題となるのが「着替え」。更衣室があれば問題ないですが、男性に囲まれることなく安心して気兼ねなく使えるスペースを作りだすためには、女性スタッフがいてさりげなく守る形にしたほうが良いのでは、と考えます。更衣室や移動中に関係ない人が入ってくる危険を減らすという意味もあります。
もちろん、女性スタッフばかりの中で男性出演者が…というのも気を遣わせてしまうでしょうから、男性がいたほうが良いのはもちろんです。
(2)異性の出演者に対してのセクハラから守る。
最近では少なくなったとは思いますが、出演者に対してセクハラになってしまう態度や行動をとってしまう主催者やスタッフが時折います。例えば、こんなケース。
*コートを着ているから、ということで、女性出演者を別れ際に抱きしめる主催者。
…若い女性の出演者が、好きでもない主催者のおっさんに抱きしめられて断ることもできず、戻ってからそのコートを泣く泣く捨てた、という話があります。
*打ち上げで、真っ赤な顔になった男性スタッフが、隣りの席にいる女性出演者をべたべた触ったり、ちょっかいを出している。
…こういう実例を見たことがあります。芸人を招いた主催者ご本人がこういう行動をするケースはさすがに少ないですが、主催者の周りにいる関係者は芸人に対する敬意をさほど感じていなかったりする場合があるので、お酌をしてくれるおねえちゃんにするような態度・行動に出てしまっていることがあります。招かれている側はあくまで仕事をもらっているので強く言えないことが多いです。
一方、いい男だったり、人気者の男性芸人がいたりすると、隣りの席でべったりとくっついて話をして離れない女性スタッフや関係者を見ることがあります。で、そうでもない方(失礼)が隣に来ると即座に離れて…それもどうかと思いますが。
舞台に立つような方々は見られることが仕事ですから、皆さん、きれいで美しい方ばかりです。高座や打ち上げ・移動中に起こった多少のトラブルには対応できるだけのスキルを持った方々がほとんどです。ただ、そういう対応ができる方ばかりではありません。芸人さんだからといって、あんなことやこんなことができると思ってはいけない。
セクハラ的な出来事が起こった時に、被害を受けている性の方がその場にもうひとりでもいると、多少は対抗しやすくなり、心強くなります。止めることはできなくても、その場に味方になることで多少は変わってきます。(注2)
(3)どこかからクレームをつけられた場合。
ちょっと話題がずれます。すいません。
まずないとは思いますが、会の前後でどこかで問題が起こって男性が怒鳴り込んできたり、客席からスタッフに難癖をつけられたような時。場慣れした人がいれば別ですが、対応する側が女性だと見くびられてかさにきた態度をとられ、事がこじれるケースが少なからずあるので、対応する側に男性がいたほうがいいと思います。
…まあ、そういうことはないにこしたことはない、とは思いますが。
ともあれ、男性であれ女性であれ、できることなら、最低限、出演者が複数のスタッフに対して「異性ひとり」という状態になるのは、できれば避けたほうがいい。そして、性別を問われるような問題や事柄が起こった時には、極力複数の人間で対応したほうがいい。
思っているもやもやっ、としたことを言葉でうまく表現できていないことは自覚していますが、そう考えています。
(注1)あくまで一般的な基準において、性自認の上での「別の性」という形でお考えください。
(注2)ただし、舞台上でのことであったり、また、上の立場の芸人さんが同行した後輩に酒の上でからんでいるような場合は、招いた側がどこまで「注意」できるのか、正直よくわかりません。あきらかに問題になるような「セクハラ」にしか見えないケースであったり、暴力をふるっているような時は止めに入ることも考えますが、倫理基準が一般とは異なる面もある芸人さんの世界に、自分がどこまで口をはさめるのか、考えることもあります。
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