(注:(10)が抜けていますが、後日追記します。)
いよいよ、出演交渉です。
依頼する文書には、お願いしたい日時・会場(人数)・謝礼金額をはっきり明記して、当人もしくはしかるべき人や場所に連絡をとります。
どうやって交渉するのが良いか。出演をお願いするのに、どの方法がベスト、というのはありません。
出演をお願いする方と面識があったり既に親しい関係であるような方の場合は、もちろん気軽に頼めるでしょうし、営業や接客など人と接することを職業としているような方の場合は、交渉するのは特に問題ないでしょう。
しかし、落語家さんに出演交渉するのが初めてであったり、人と接するのがあまり得意ではないけれども、落語を聴くのが好きで…という人の場合は、やはりハードルは高くなるかもしれません。
私も、お手伝いをしていた落語会の主催者が病気で倒れたため、やむを得ず代わりに出演交渉をするようになりましたが、未だに慣れません。
失礼が無いだろうか、負担をかけないだろうか、ギャラは少ないけれどもお願いしていいだろうか、忙しくないだろうか、電話をしている時間帯にお仕事をしていないだろうか…電話やメールをする前はいつも気持ちが乱れます。そして、数日かけて(本当です)気持ちを整理して、えいやっ、とエンターキーを押したり、電話をかけたりしています。
えいやっ。
出演をお願いする方法を、いくつか挙げてみます。
*直接、依頼する
もちろん、これができるならば良いと思います。主催者の許可を得て出演している落語会の楽屋を訪れたり、寄席が終わった後の楽屋口などでお願いをするというケースが多いと考えます。顔を合わせての交渉ですから信頼も増します。楽屋を訪れた時には、原則としてきちんとその会を聴くのが礼儀だと考えます。
一方的に口頭でばーっ、とまくしたてられても困惑してしまうかもしれませんから、追って連絡ができるように名刺を渡して、自分が何者であるかと、改めて先方が連絡ができるようにしておく心遣いをしっかりと。
*メール・サイトのメールフォーマットで依頼する
最近は、これが主流だと思います。かなりの数の落語家がサイトやメールアドレス、SNSのアカウントを持つようになり ました。また、直接会うことが難しい地方の落語会の依頼が、メールがあることでしやすくなりました。
メールでの最初の連絡の際は、タイトルに「出演依頼」もしくは「自分たちが何者であるか」どちらかをはっきりとわかるように入れたほうが良いと思います。
先方からメールで返事が来た際には、できるだけ早く返事をしましょう。時間がかかってしまう場合は「いつごろまでにお返事します」という一報だけでも入れたほうが良いと考えます。
また、万が一交渉中に問題が起こった時のために、届いた・送ったメールは保管しておきましょう。「言った言わない」という水かけ論になるのを防ぎます。
…あと、ひとつ、出演者側の方にお願いがあります。大手のブログで情報発信している出演者の方。意識的にコメントを遮断しているのでない限り、連絡のとれるメールフォーマットをブログ中に作っていただくか、メールやSNSのアドレスなどをブログ中のどこかに明記していただきたいです。会員でないとコメントもできないという形式のブログの場合(例:Ameba blog)、会員でない場合「お気軽にどうぞ!」とお誘いがあっても、最初のアクセスの困難度が増します。会員になればいいんですが。そらまあそうなんですが。
*SNSでお願いする
つながりがある場合は有効な連絡手段です。
SMS(携帯)メール・ツイッターなど、少ない文字数しか使えないメディアで依頼をする時は、文字数を考えて推敲して送り、承諾をいただいてから後日、きちんと連絡がとれるように長文メール・手紙などを送ることができる方法(メールアドレス・FAX)などを追って確認させていただくようにしましょう。
*郵便(手紙)でお願いする
ファーストコンタクトが手紙、というケースは昔に比べて少なくなったのではないでしょうか。会のコンセプトがはっきりしていたり、コンセプトがあって講演をお願いしたり、参考資料が多いようなケースでは一式を資料として郵送、という方法も有効です。
最初からハガキでのお願いはもちろん論外です。お礼をハガキで、は有りだと思います。
ただ、連絡先の住所が最初からわかるというケースのほうが少なくなったとは思います。
*電話でお願いする
電話番号がわかる場合は、直接電話をして用件を伝えることができます。留守番電話だと思ったら出た(あるいはその逆)という時に、びびらないように心の準備をしておきましょう。
伝えたい用件は事前にまとめて書いておいて目の前に置いて、メモがとれるように紙とペンも用意して、電話の口調はゆっくりと。
あと、連絡先に迷惑をかけないよう、夜間・早朝などの時間帯には電話をするのはやめておきましょう。
*ファクスでお願いする
メールが登場する前は主流だったのではないでしょうか。ファクスで概要を送り、追って電話をする、という依頼方法は確実に用件を伝え連絡を取る手段としてすぐれていました。もちろん今も、ビジネスでは主流かもしれません。
*プロダクションに依頼をする
人気者の方の場合、連絡先がプロダクションや事務所などの会社組織になっている場合があります。
ただ、プロダクションに所属していても仕事の決定権は本人にある場合があり、連絡をとることができる場合は直接交渉した場合が割安かつ手間もかからない場合もあります。メールなどで直接交渉できないか確認した上で、サイトにプロダクションの連絡先しかない、直接交渉できない、などと判断した場合は条件をはっきりさせて連絡をとってください。
プロダクションの場合、交渉する相手が出演者本人ではないので、返信が遅くなったり出演までの条件交渉が多少難しくなる場合もあります。交渉の結果、日時や予算などで条件が完全に折り合わない場合は断念するしかないですが、あきらめずにねばり強くやりとりしましょう。
*協会を通して依頼をする
どうしても連絡先などがわからない場合は、所属している協会(落語協会・落語芸術協会・上方落語協会)から出演の問い合わせをするという方法はあります。私も「こういう理由でこの方に連絡をとりたい」という事情を書いて手紙を転送してもらい、出演交渉にこぎつけたことがあります。
ただ、落語家が所属する協会というのは、原則対外的に折衝するためのプロダクションとは性質が異なり、業界の親睦団体的な存在です。問い合わせへの対応が遅くなったり、場合によっては断られる場合もあることは承知しておきましょう。
*他の人を通してお願いする
出演交渉が難しい方、既につながりの深い方がいるような場合は、その方に出演の仲介をお願いする場合も多いでしょう。落語会の主催者は、経験を増すほど連絡先を数多く知っているのは確かです。
お弟子さんを知っている場合には、その方に仲介をお願いするのもいいかもしれませんが、無理をさせてはいけません。
あと、自分が面識の無い人に(一般人であっても芸人であっても)仲介をお願いするのは、やめましょう。失礼ですし、うまくゆかなかった時に、その後の関係がこじれがちです。
間に入ってくださった方に余計な負担をかけないように条件をはっきりさせて、また、敬意は忘れずに、しかし必要以上に関係に過剰に依りかかることが無いように、交渉が成立した時はもちろん、かなわなかった時でもきちんとお礼は言いましょう。
お願いしても返事をいただけるまでには、一週間くらいが目安でしょうか。
それ以上待っても返事が無い場合には、依頼メールの未着なども考えられるので、問い合わせをしてみましょう。
えいやっ。
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